2014年3月11日火曜日

MM: ハイレゾ音源からCDを作成(データは PCM, OS はwindows の場合)

e-onkyo のハイレゾ音源のサンプルのダウンロードページより.ハイレゾ音源も最近入手しやすくなってきた.

最近はCDよりも高音質な音声データ,いわゆるハイレゾ音源が増えてきた.ハイレゾ対応の機器で聴くと本来の高音質を楽しめる.一方で,ハイレゾ音質でなくなってもいいから,CDを作ってその音楽をコンポで聴きたい場合もある.寝室にはせいぜいミニコンポを置く程度,というときにありそうだ(我が家がそう).そこで,本記事では,ハイレゾ音源からCDプレイヤーで聞けるCDを作る,なるべくお金のかからない方法を解説する.ハイレゾ音源には大きく分けて PCM 系と DSD 系があるが,この記事では PCM 系について解説する.繰り返すが,作成したCDはハイレゾでなくCDの音質にしかならないので念のため.
[2015/02/09追記]  ffmpeg をコマンドラインで使って変換する記事を書きました.フリーウェアでいけるので,そちらもどうぞ.
[2015/08/26追記] サンプルレート変換を高音質版にした記事も書きました.こちらもフリーウェアで行けます.

必要になるのは,Windows PC, ネットへの接続, CD書き込み可能なドライブである.

では,行ってみよう.

目次
  1. ハイレゾ音源の入手
  2. PC上で聞いてみる
  3. CD形式wavファイルへの変換
  4. CDへの書き込み

1. ハイレゾ音源の入手


ハイレゾ音源ファイルはすでにお持ちだろうか?最近では,ネットでダウンロード購入できたり,雑誌の付録についてきたりする.自分で録音して作ることも出来る.

ここでは,ネットで無料サンプルをゲットしてみよう.
イギリスの LINN Records (あの高級オーディオの LINN)のサイトで,無料のハイレゾ音源サンプルが登録不要で簡単にダウンロードできる.ダウンロードページはこちら

LINN Records の無料ハイレゾ音源サンプル

今回は,5.1ch のハイサンプリング・ハイビット音源を試してみたいので,「FLAC Studio Master Surround 5.1 channel test」を選ぶ.
  • データ形式は 24bit, 88.1kHz, 5.1 Surround, 圧縮形式は FLAC.FLAC はリニア PCM をロスレス圧縮するものなので,中身は(復号すれば) PCM データである.
  • 内容は,男性の声で「left, left, ..., right, right, ..., center, center, ..., sub, sub, ..., rear-left, rear-left, .., rear-right, rear-right, ...」と,各チャンネルでそのチャンネル名を6回ずつ繰り返すという内容の音声テストファイルだ.チャネル割り当ての確認用に良い.
  • ただ,あまりにも味気ないと思う人は,最初から音楽データの「FLAC Studio Master Surround 5.1 excerpt test」を使ってもいいだろう.こちらは,楽曲からの抜粋になっている.
ダウンロードに成功すると,「surround88.flac」というファイルがダウンロードフォルダに出来ているはずだ(excerpt test の方なら test192.flac).これで,今回試すハイレゾ音源が入手できた.

なお,国内のサイトから音源を入手したければ,たとえば e-onkyo のサイトで無料のハイレゾ音源サンプルをダウンロードできる(登録が必要).

参考までに,ハイレゾ音源の配信サイトをまとめて紹介しているページをいくつか挙げておく.

2. PC上で聞いてみる


ハイレゾ音源ファイルが得られたので,早速 PC 上で聞いてみよう.ハイレゾで聞ければ,つまりハイビット・ハイサンプリング・マルチチャネルを活かせる再生環境があればそれにこしたことはない.ただ,CDに焼きこむ前提なら,内容の確認が出来ればいいだけなので,ハイレゾをハイレゾらしく再生する環境はここでは不要である.ノート PC のモノラルスピーカーでも大丈夫だ(もちろんそれではハイレゾらしさはまず実感できないが…).

Windows 標準付属のメディアプレイヤーでは,基本的に flac は再生できない(コーデックを入れればできるが,今回は省略する)ので,別のプレイヤーを用意する.お好みのプレイヤーで構わないのだが,いくつかフリーのプレイヤーの例を挙げておこう.いずれも,ダウンロードしてインストールすれば普通に使えるはずである(Windows のバージョンには注意).インストールして,flac ファイルの再生を試してみてほしい.
  • foobar2000
    • マニア御用達のオーディオプレイヤー.標準状態では簡素に見えるが,高機能・多機能・高カスタマイザビリティを誇る.筆者もカスタマイズ道をかじりかけている.
  • Sound Player Lilith (と,unicode 版の uLilith)
    • 簡単お手軽.ASIO等への出力にも対応.対応形式もある程度多く,ファイル変換もそこそこサポートしており,何かと便利.
  • MediaPlayerClassic HomeCinema
    •  これは基本動画プレイヤーだが,音声のみでも再生できる.対応形式も幅広く,とても便利.オープンソース.
上記プレイヤーの中には,インストール不要で, zip を解凍後プレイヤーの実行ファイルに音声ファイルをドラッグ&ドロップするだけで再生できるバージョンがあったりもするので,手軽に試すことが出来る.もちろん,インストールしてがっつり使い込む甲斐のあるアプリたちでもある.あと,OS を問わず,困ったらVLCという手もある.

ハイレゾ音源をハイレゾらしく聞くには, 以下のような本も参照されたし.

丸ごと一冊ハイレゾオーディオ完全ガイド (インプレスムック)
麻倉 怜士 岩井 喬 大坪 知樹 折原 一也 鳥居 一豊 野村 ケンジ 藤本 健 本田 雅一
インプレスジャパン (2014-02-26)
売り上げランキング: 1,568

ハイレゾ音源を楽しむ PCオーディオ入門 (学研ムック)
学研パブリッシング (2014-02-10)
売り上げランキング: 15,248

さて,surround88.flac を再生して,「left, left, ..., right, right, ...」と言っているのが聞こえただろうか?聞こえたら,次のステップへ進もう.

3. CD形式wavファイルへの変換


暫定的に,xrecode II というソフトを使って行う.フリーウェアではないようだが,試用は可能だ.継続的に使う場合は 15$ (or 10€) で登録しよう.
  • 他にも変換法はいろいろあるはずで,foobar2000 などでもできるはずなのだが,うまくいく設定をまだ把握していない.
  • 多くのソフトは ffmpeg というフリーのライブラリを利用している.いっそ ffmpeg のコマンドライン直接利用でそのうち記事を書くか….
    • [2015/02/09追記] 書きました
    • [2015/08/20追記] さらに,サンプルレート変換の質にこだわった変換法も書きました
インストールして起動すると,登録か試用かを確認される.確認画面でカウントダウンを待ち,アクティヴになった数字のボタンを押せば試用が可能になる.

xrecodeII の起動確認画面.しばらく待って,1~4のうちアクティヴになった数字のボタンを押せばよい.

メインウィンドウで,変換したいファイルをドロップしたり,設定ダイアログを開いたりできる.
xrecodeII のメインウィンドウ.

変換手順の要点だけ先に書くと,
  1. 「前処理を実行」を選び,その設定から「ステレオに変換」を選ぶ.
  2. 「目的の形式」は「WAV」にし,その設定から 16ビット,44100Hz を選ぶ.
これだけである.以下,手順を一つずつ実際の画面で見ていこう.変換元のファイルは「c:\work\surround88.flac」だとしよう.

手順1) surround88.flac をドラッグ&ドロップで追加.コーデックはflac, チャンネルは 6 (5.1なので), その他情報は右にスクロールさせると確認できる.

手順2) 左の「前処理を実行」にチェックを入れ,その右の「設定」ボタンをクリックする.

手順3) 設定ウィンドウで,「ステレオに変換」を選んでから「OK」

手順4) メインウィンドウ下の「目的の形式」コーナーで「WAV」を選ぶ.右側に設定マーク(スパナのマーク)のついたボタンになるので,クリックする.

手順5) 「サンプル当たりのビット」を16に,「サンプルレート」を44100にする.そして右下の「OK」をクリックする.

手順6) メインウィンドウの「出力設定」コーナーで「ソースと同じ場所」を選ぶ.出力したい場所があれば,「場所を指定」からお好みで選べる.

手順7) これで準備ができた.メインウィンドウ右下の「開始」をクリック.
進行状況ウィンドウが出る.今回のようにファイルサイズが小さいと,あっという間にこのウィンドウは消える.このウィンドウが消えると,もう wav ファイルはできている.完了である.(手順8)
念のため最後に確認.できた wav ファイルを xrecode II のメインウィンドウにドラッグ&ドロップすると,ファイル情報が確認できる.wav, チャンネルは2(つまりステレオ), サンプルレートは 44100, ビットレートは 1411kbps/CBR で,右にスクロールさせると BPS(1サンプル当たりのビット数)は 16 と出てくるはず.これで CD と同形式の wav ファイルができたことがわかる.せっかくなので,プレイヤーでこの wav ファイルを聞いて,変換元の flac と同内容(音質は異なる)であることを確かめておこう.

以上である.変換手順を文章でまとめておく.
  1. 変換元のファイルを「ここにドロップ」と書いてあるエリアにドラッグ&ドロップする.「ファイルを追加」ボタンから追加してもよい.
  2. メインウィンドウ左側の「入力設定」コーナーにある「前処理を実行」のチェックボックスをクリックし,「前処理を実行」の右側に出る設定ボタンをクリックする.
  3. 設定ウィンドウで,「チャンネル」コーナーの「ステレオに変換」を選ぶ.選んだら,右下の「OK」をクリックすると,設定ウィンドウが閉じる.
    1. 「多重チャンネルファイルのみ」「すべてのファイル」は,今回はどちらでもよい.また,「ステレオに変換」の右側の設定ボタンは,とくにいじらなくてよい.
  4.  メインウィンドウ下側,「目的の形式」コーナーの「WAV」を選ぶ.「WAV」右側に設定ボタンが出るので,クリックする.
  5. 設定ウィンドウで, 「サンプル当たりのビット」を16に,「サンプルレート」を44100にする.そして右下の「OK」をクリックすると,設定ウィンドウが閉じる.
  6. メインウィンドウ中央右の「出力設定」コーナーで,「ソースと同じ場所」を選ぶ.どこか別に出力したい場所があれば,もちろんそちらに設定してよい.
  7. メインウィンドウ右下の「開始」ボタンを押す.進行状況ウィンドウが出て,終了すると自動的にメインウィンドウに戻る.最近のPCなら,今回のファイルは数秒と掛からない.
  8. wav ファイルができている.今回の例では「c:\work\surround88.wav」.プレイヤーで聞いて,正常にできていることを確認する.
無事に変換できただろうか?次は,いよいよ CD への書き込みである.

4. CDへの書き込み


あとは変換でできた wav ファイルを,オーディオ CD として焼く(=CDに書き込む)だけである.お好みの方法でよいだろう.ドライブやPC付属の書きソフトを使うのが無難に思える.以下ではフリーウェアをインストールして使う方法を紹介するが,最近の windows media player や itunes などでも問題なくできるだろう.データファイルとしての wav ファイルでなく,CD-DA のトラックとして焼く,という点だけ間違えなければ大丈夫.windows media player なら,書き込みから「オーディオCD」を選んでおけばよい.

CD 書き込みのフリーウェアも多種多様にある.ここでは「BurnAware Free」を推薦しておく.インストール時には,デフォルトでは AVG ツールバーを一緒にインストールしようとしてくる(2014年3月現在)ので,いらない人はチェックを外すのを忘れずに.BurnAware Free の一般的説明はこちらのページこちらのページに詳しい.本記事で追加で説明することもとくにないので,それらのページをご覧頂きたい.もっとも,何も見なくても使えるくらいシンプルなソフトである.

より細かい設定をしながらオーディオCDを作成したければ,Exact Audio Copy を使うのがいいだろう.こちらはマニア御用達の機能満載である.

そもそも書き込み可能ドライブを持っていない場合,DVDに対応しない純粋CD-Rドライブを探す方がむしろ困難なので,値段も十分安いしDVD-Rドライブを買えばよいだろう.もちろん,BD-Rドライブでもよい.筆者は,パナソニックの古い外付けDVD-RAMドライブなんてものを使っている.

安価なポータブルDVD-Rドライブで供給が安定していそうなものを挙げておこう.USBバスパワーだが,パワー不足時はLEDで判別できるので安心感が高い.書き込みソフトも付属するので,付属ソフトで書きこめば特に問題ないだろう.執筆時点では2,880円であった.ソフト付きでこの価格とは,昔からすると驚くべき安さになったものだ.


CD-R メディアは,いわゆるスピンドル型のパッケージで一度に50枚なり買うと割安になる(ただし,ディスクごとのプラケースが付属しない).プラケースがいる場合,あるいはそこまで枚数がいらない場合でも,1枚バラで買うと割高すぎるので,10枚や20枚のパッケージをおススメする.

ここでは定番の太陽誘電の製品を挙げておく.執筆時点では,50枚の方が1,427円, 10枚の方が1,081円であった.音楽CDを焼くときは低倍速推奨という説もあるので,低倍速対応が明記されているものをピックアップした.



いまやディスクメディアはレーベル面の印刷画質で勝負する時代なのか~.

無事にCDが作成できたら,あとはお手持ちのオーディオ機器でお楽しみいただきたい.

なお,以上の手順は筆者検証済み(CPU: core 2 duo, OS: Windows 7 (64bit), 書き込みドライブ: Panasonic LF-M760, CD-Rメディア: 太陽誘電の古いの)ではあるが,成功を保証するものではないのであしからず.自己責任でお願いいたします.

0 件のコメント:

コメントを投稿