2014年4月29日火曜日

SheevaPlug: 起動しないと思ったら電源と電池周辺がッ~復活させました~

見るからにヤバイ.復活なるか?
  • Marvell の小型 ARM マシン SheevaPlug が起動しなくなった.
  • 分解して中の様子を目視で検分すると,
    • 主原因は見るからに電源の故障.
    • ボタン電池周辺もアウトであった.電源のせいかは不明.
  • 電源とボタン電池の代替品を用意し,交換を行った.
  • 結果はいかに?
では行ってみよう.


SheevaPlug Dev Kit
SheevaPlug. image from Globalscale Technologies
AC アダプタサイズの小型 PC で SheevaPlug というのがある.中身は x86 ではなく Marvell 製の ARM アーキテクチャの CPU が使われている.Sheevaplug Dev Kit という形で販売されていることからもわかるとおり,自分でいろいろ苦労してもいい人向けの一品だ.とりあえずは linux が走り,USB ポートがあり,先人たちの情報も充実している(日本語・英語とも web に十分情報があるし,洋書ながら成書まである[amazon])ので,コマンドライン作業さえクリアできれば何とかなる.応用によっては持ち味を活かして十分楽しめる.

もうだいぶ前のことになるが,私自身はアメリカの Globalscale Technologies のサイトから購入した.海外からモノが届くのはなかなかオツであった.その後国内でもバリエーションモデルとして玄人志向から玄(現在は販売終了)が出ていたが,現在はまた海外から買わないといけないのかな?

https://addons.cdn.mozilla.net/img/uploads/previews/full/18/18199.png?modified=1331247702
Music Player Minion. image from mozilla
このディスプレイ出力もない珍妙な機械を何に使っていたかというと,USB オーディオインターフェースを組み合わせて,ネットワークプレイヤーもどきとして使っていたのである.Sheeva 側で MPD (Music Player Daemon) を起動させ,クライアントである他の PC たちからは firefox の add-on である minion で操作.これで快適な音楽ライフを送っていたのだ[*1].Sheeva は USB が 2.0 なので,使う USB Audio I/F の仕様にもよるが,この枠組みで流行のハイレゾ音源も楽しめるはず.はずというのは,自分で使っていたのは M-Audio の AudioPhile USB[*2] (M-Audio のサイトにもはや見つからないので core-sound のページをどうぞ) なので,24bits/96kHz が限界だったからだ[*3].USB 音源の設定は苦労したので,勢いあまってALSA のサンプリングレート設定の記事も当時書いたのだった.
[*] 当時は android はまだ全然だったし,DLNA の DMS/DMC/DMP/DMR の各クラスは定義はあっても気軽に使える実装が見つけられなかったと記憶している.今ならもっと便利な環境に出来そうだ.
[*2] この audiophile usb は当時2万円しなかったはずだが,amazon で見たら新品はもう取り扱いがなく,中古にはたいそうなプレミアがついててびっくり.10万オーバーって!それはさすがに格の違う機材が買えてしまうと思うのだが‥. プレミアがつくような理由あったかなぁ?
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[*3] 24bits/96kHz も CD や DAT の 16bits/44.1(or 48)kHz を超える立派なハイレゾではある.しかし「流行」のハイレゾといった場合,192kHz あたりまでカバーしてほしいものだ.参考:JEITAのPDF「ハイレゾオーディオの呼称について(周知)」

さて,そんな快適音楽ライフをトラブルが襲う.いつものように音楽を聴こうとすると,音が鳴らない.なぜだ.第一弾となったこのトラブルは, AudioPhile USB の修理で解決を見た.単に電解コンデンサがイカレていたので,半田ごて片手に交換したのである.そのうち記事にするかもしれない.無事難局を乗り切った私は,懲りるどころか倍プッシュの心境でマイシステムを稼動させていた.しかししばらくしてまたトラブル発生.音が鳴らない.なぜだ.今度はそもそも SheevaPlug が起動しなくなっている.ざわ‥ざわ‥.この顛末が今回の記事である.

とはいえこれは予測されていた事態でもあった.Sheeva は電源に持病があると多数の報告(google検索例)があったからである.いやしくも Sheeva オーナーであるなら,オタオタこそすれ,ひるむことなく解決に取り組まなくてはならないのである.さあ,早速[*]分解だ.
[*] 早速とか言いながら,故障後は分解まで軽く1年以上は放置していた.ボタン電池周りがあんなことになったのはそのせいか?

まず,SheevaPlug を裏返す.ゴム足を手で外すとネジにアクセスできる.
photo by bun6, mobile phone's camera, cropped, resized, modified. SheevaPlug の裏返し.かわいいやつなのだ.
ネジを外せば,筐体は容易に開けられる.
photo by bun6, mobile phone's camera, cropped, resized, modified. この基板は,mini-itx に慣れた目にはとても小さく感じる.SheevaPlug の筐体の外形寸法は 110mm x 69.5mm x 48.5mm [販売している GlobalScale Techonologies のサイト]で,pico-itx は 10cm x 7.2cm [VIAのサイト]だから,sheeva の基板は pico-itx と同程度で少し小さい.基板右手にある電池ソケットからは電池を抜いての撮影.
基板を筐体に固定する役割は,すでに外した筐体用ネジが兼ねている.そのため,筐体を開けた後は,基板は簡単に取り出せる.

基板を見てまず目に付いたのは,ボタン電池のソケットが何かヤバそうになっていることだ.手で直に触らないように電池を外した.以下,液漏れの処理と電池交換に関しては別記事「互換性: ボタン電池実践編: AG10 から SR1130 へ」にしたためたので,ご参照頂きたい.もともとの電池はAG10というイマイチな予感の漂うLR1130互換の海外製ボタン電池だったので,がっちり安心なSR1130に入れ替えている.今回は,SR1130の中でもタフそうなSR1130Wを選んだ.
photo by bun6, mobile phone's camera. マクセル SR1130W. 電池も金コーティングの時代らしい.
ちなみにマクセル製.amazonのマクセル製SR1130Wのページ
photo by bun6, mobile phone's camera. 基板にセット.動くといいな
これで電池周りはよしとする.

では,いよいよ本丸の電源部に突入しよう.基板と反対側の半分に,電源部が収納されている.
photo by bun6, mobile phone's camera. sheevaplug の電源部は,薄めの金属で囲われている.黄色いテープでぐる巻にされており,このテープをはがすと簡単に開けられる.
はてさて中はどうなっているか.ぐるりと巻いているテープをはがし,箱を開けてみると…
photo by bun6, mobile phone's camera. sheevaplug の電源内部.電解コンデンサーの内容物が飛び散り無残なことになっていた.くわばらくわばら.ここは業務用クオリティのヘビーデューティー24時間耐久仕様にしてほしかったが,何せ development kit だからお試し用程度の耐久性だったのだろうか.

惨状が広がっていた. 電解コンデンサの質が悪かったのか,負荷設計を誤ったのかはわからないが,電解コン,大破であった.

さて,どうしたものか.この電源の修復は困難そうだし,単なる修復では再発の恐れもあるので,電源丸ごと代替品を用意[*]することにした.規格は不明だが,交換用としては 5V, 3A あればよいらしい(参考ページはこちらこちら.また,GlobalScale のページに DC Consumption: 5V/3.0A Max とある).そこで,5V/3A の AC アダプターを用意し,適当なプラグ・ソケットをしつらえて基板に電力を供給する.
[*] GlobalScale 自身からも電源の代替品が出ているのだが,また海外からってのもなんなので,今回は手近で解決を試みたのだ.


今回用意した AC アダプターは,秋月電子で売っている STD-05030U というものだ.DCプラグは内径2.1mm, 外径5.5mm[*].定格は満たすし,安定化出力で各種保護回路も備え,電解コンも日本製と書いてあり,1,000円しないのでまあいいかという選択.実際の信頼度等は,素人過ぎる私には判断できない.
[*]以前,Iconia の AC アダプタの記事で「外径5.5mm内径2.1mmというのは特に標準規格ではないもののよく使われているようで」と書いたが,まさにこれ.
photo by bun6, mobile phone's camera. 用意した5V/3AのACアダプタ.規格としては十分なはず.コンセントが混んでいると使えないタイプ.
あとは,ACアダプタの出力するDCを受け取れるよう準備すればよい.もともと,メイン基板は本来の電源から4ピンのソケットでDCを受けていた.この4ピンのソケットに挿すコネクタの入手方法がよくわからなかったので,どうせもう故障電源は使う見込みもないし,故障電源から生えていたケーブルを切って再利用することにした.

photo by bun6, mobile phone's camera.  ここから,DCを基板へと供給するケーブルが生えていた.ぱっちり切断後.
コネクタつきのケーブルが切り離された.

photo by bun6, mobile phone's camera.  DCを基板へと供給するケーブル.
赤2本,黒2本あるが,この回路では分かれている意味はないので,予め芯線を撚ってまとめておいた.

photo by bun6, mobile phone's camera.  赤同士,黒同士で,芯線を撚ってまとめた.
次に,ACアダプタのDCプラグを受けるためのDCジャックを用意する.MJ-077N (秋月の商品ページ)というモノを使った.内径2.1mm, 外径5.5mm である.ケーブル(ワイヤー)には,協和ハーモネットの耐熱電子ワイヤー 3265 AWG20 (秋月の商品ページ)というモノを使った.ここら辺は単に持っていたとか買いやすかったとかいうのが選択の理由.

photo by bun6, mobile phone's camera. DCジャックからの接続に使った電子ワイヤー.
amazon でもこのシリーズは売っているようだ.amazon というか千石電商か.


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さて,ワイヤーの端の被覆を剥いて,ジャックに半田付けして…

photo by bun6, mobile phone's camera. DCジャックにワイヤーを接続.
DCジャック側のワイヤーと,4ピンコネクタ側のワイヤーを半田付けし,赤と黒が接触しないよう絶縁テープで各々巻いて絶縁しておき,その後両方まとめて巻いた.

photo by bun6, mobile phone's camera. DCジャックにワイヤーを半田付けし,絶縁テープ巻き.
熱収縮チューブの方がスマートだろうと予想しているが,実際に使ったことはないので,そのうち挑戦したい.

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これにて電源入力ケーブルができた.このケーブルを基板に接続してみると,
photo by bun6, mobile phone's camera. メイン基板に,作成した電源入力ケーブルを接続.
なんだか今日は行けそうな気がするー[*].ボタン電池は前記の通り入れ替えたし,あとはACアダプタをつければ動くはずというところまで来た.
[*]最近聞かなくなったけど,あの芸人さんは元気なのか?

では, いよいよ起動してみよう.SheevaPlug, 復活なるか?ささやき えいしょう いのり ねんじろ!

photo by bun6, smart phone's camera, cropped, resized. Sheeva は げんきになりました
動いた!やったよ!
本プロジェクトの目標はこれで達成されたのであった.

以上のように,SheevaPlug は電源と電池の交換で見事に復活した.しばらく使って問題はなさそうであった.ただ,気づいた点として,SheevaPlug の基板ってかなり熱くなる.もともと放熱用の金属板が貼り付けられているが,風通しを良くするなりファンをつけるなりした方が,長期の安定使用にはいいかもしれない.オリジナルの電源が壊れた今では,元のケースにこだわる意味も薄いので,改良版のケースを自作するのも一興かも.さらに言えば,ACアダプタとUSB音源も取り込んで,一筐体でネットワークオーディオプレイヤーに仕立て上げられるとかっこいいじゃん!?などと妄想も膨らむが,ちょっと私の手には余るかな.

最近(2014春)はネットワークオーディオプレイヤーも2万円位で十分買えるようだが,自作はロマンですからな.

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